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認知症を知る

最終確認 2026-09-13

名前は聞くけれど、何が起きているのかは案外知られていません。 ここでは、認知症と呼ばれる状態にどんな病気があるのか、脳で何が起きているのか、 受診すると何をするのかを、公的な資料にもとづいて整理しました。 読み物であって、診断ではありません。

出典は厚生労働省と国立長寿医療研究センターです。検査の点数など、 診断の基準になる数値は載せていません。判断は医師と行うものだからです。

加齢のもの忘れと、そうでないもの

誰でも忘れます。違いとしてよく言われるのは、体験の一部ではなく、体験そのものを忘れること。「何を食べたか忘れる」ではなく「食べたこと自体が残っていない」という形です。忘れている自覚があるかどうかも、よく挙げられる違いです。

ただ、これは家で判断することではありません。医師に伝える材料のひとつと考えてください。

認知症はひとつの病気ではありません

認知症は状態を指す言葉です。脳の細胞が失われたり働かなくなったりして、暮らしに支障が出ている状態。そこに至る病気はいくつもあります。厚生労働省は大きく、神経細胞がゆっくり死んでいく変性疾患と、血が届かなくなる脳血管性に分けて説明しています。

変性疾患 もっとも多い

アルツハイマー型認知症

脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」のひとつです。

記憶をつかさどる海馬のあたりから萎縮が始まることが知られています。

もの忘れから始まり、月単位・年単位でゆっくり進みます。

脳血管性 次に多い

血管性認知症

脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などで、神経の細胞に栄養や酸素が届かなくなって起こります。

傷んだ場所によって出る症状が変わります。

発作のたびに段階的に進むことがあります。できることとできないことの差が大きく出ることがあります。

変性疾患 変性疾患のひとつ

レビー小体型認知症

「レビー小体」というたんぱく質が神経細胞にたまることで起こります。

パーキンソン病と近い関係にあります。

実際には見えないものが見える(幻視)、手足のふるえや動きにくさ、日によって調子が大きく変わる、といったことが知られています。

変性疾患 変性疾患のひとつ

前頭側頭型認知症

脳の前頭葉・側頭葉の神経細胞が変性して起こります。

前頭葉は、感情を抑えたり、段取りを組んだりする場所です。

もの忘れより先に、人柄や行動の変化として現れることがあります。比較的若い年代で起こることもあります。

これは紹介であって、見分け方ではありません。どの病気か、そもそも認知症なのかを判断するのは医師です。複数のタイプが重なることもあります。

なぜ最近のことから忘れるのか

新しい体験はいったん短く保たれ、そのあと長く残る記憶へと仕舞われます。その仕舞う役目をしているのが海馬です。アルツハイマー型では、この海馬のあたりから萎縮が始まることが知られています。

昔のことは鮮明なのに今朝の話が出てこないのは、そもそも仕舞われていないからです。同じことを何度も聞かれるのは、頑固だからではありません。本人にとっては毎回が最初の一回です。

受診すると何をするのか

  1. 問診 本人と家族から、いつ頃から、どんなことが起きているかを聞きます。家族からの話が診断の材料になるので、できれば付き添ってください。
  2. 神経心理検査 記憶や見当識を調べる質問形式の検査です。点数だけで診断が決まるものではありません。
  3. 画像検査(CT・MRI) 脳の萎縮の様子や、脳梗塞・出血の跡を見ます。手術で治る病気が隠れていないかを確かめる役目もあります。
  4. 血液検査 甲状腺の働きやビタミンの不足など、認知症に似た症状を起こす別の原因を調べます。

治せる認知症があります

受診するかどうかを決める前に、ここだけは知っておいてください。正常圧水頭症慢性硬膜下血腫のように、認知症に似た症状を出し、手術で良くなる病気があります。甲状腺の働きの低下やビタミンの不足でも似た症状が出ます。

CTやMRIは、まさにそれらを除外するために撮ります。「どうせ治らないから」で受診しないと、治るものを見落とします。

家族の側の話

訂正しなくていい

違うことを言われたとき、正しても本人には伝わらず、否定された感じだけが残ります。話を合わせて困ることは、思ったより少ないものです。

環境を変えすぎない

住み慣れた場所や、いつもの手順は、本人にとって手がかりです。良かれと思った模様替えや引っ越しが、混乱の引き金になることがあります。

できることは取り上げない

時間がかかっても本人ができることは残します。先回りして全部やると、できることまで早く失われます。

一人で抱えない

家族が倒れると在宅が続きません。地域包括支援センターへの相談は無料で、認定を受けていなくても使えます。

どこに相談するか

相談は無料です。診断も要介護認定も要りません。「最近どうも様子が違う」という段階で構いません。

出典

このページは一般的な説明で、診断ではありません。症状の出方も進み方も人によって違います。判断は必ず医師と行ってください。