返すかどうかを決めるのは本人です。 家族が代わりに返納することはできませんし、診断を受けたからといって 自動的に免許が取り消されるわけでもありません。 ここでは、決めるための材料と、やめたあとの足をまとめます。
「自主返納」の正式な呼び方
制度上は「運転免許の申請取消し」といいます。有効期間が切れる前に、 自分の意思で公安委員会に取消しを申請する手続きです。
- 窓口:運転免許センター、または県内の警察署(横浜水上警察署を除く)
- 予約:不要です
- 持ち物:運転免許証。マイナ免許証と両方持っている方は両方。どちらも持参できないと手続きできません
運転経歴証明書は、必ずもらってください
返納した方の希望で交付される、返納前5年間の運転経歴を証明する書面です。 金融機関などで本人確認書類として使えます。 免許証を返すと本人確認の手段が減るので、ここは押さえておきたいところです。
受付をした警察署で約1か月後に交付されます。 川崎・横須賀・鎌倉・小田原・海老名・相模原北の各警察署は混雑が予想される、と県警が案内しています。
運転経歴証明書で受けられる特典
神奈川県には高齢者運転免許自主返納サポート制度があります。 協賛事業所で運転経歴証明書を提示すると、商品の割引、自宅までの無料配送、 宿泊料金の割引などが受けられます。協賛事業所の一覧は県警のページにあります。
川崎市で使える、やめたあとの足
川崎市には高齢者外出支援乗車事業があります。 対象や負担額は市が定めていますので、返納を考え始めた時点で確認しておくと、 「やめたらどうなるか」が具体的に見えます。
車が残ります
売る、譲る、置いておく。どれを選んでも手続きが要ります。 そして遠方の子の名義に移すのは、思うより簡単ではありません。
返納したことを忘れて、乗ってしまうことがあります
認知症では、返納したこと自体が記憶に残らないことがあります。 嘘をついているのでも、言うことを聞かないのでもありません。 それでも運転すれば無免許運転で、事故を起こせば取り返しがつきません。
いちばん確実なのは、車を手元から無くすことです。売る、引き取る、 親族に譲る。名義や保険の話が面倒でも、車がそこに無いことに勝る対策はありません。
すぐに手放せないときは、物理的に動かせなくします。
- 鍵を預かる…いちばん手軽ですが、スペアキーの置き場所を本人が覚えていることがあります
- バッテリーのマイナス端子を外す…エンジンがかかりません。戻すのも簡単です
- タイヤロック・ハンドルロック…物理的に確実です。ホームセンターや通販で手に入ります
それでも出かけてしまったときのために
備えは3通りあります。どれもいなくなる前に用意しておくものです。
- 介護保険で借りられるか確かめる…福祉用具貸与に 認知症老人徘徊感知機器という品目があります。ただしこれは本来 「外へ出ようとしたのをセンサーで感知して知らせる」機器で、 GPSで居場所を探すものとは別です。GPS機能を給付対象に加える改正が進んでいますが、 施行日はまだ決まっていません。いま借りられるかは、ケアマネジャーか市の介護保険担当に 確認してください。借りられるもの一覧
- 市の緊急通報システム(携帯型)…端末にGPSの位置情報検索機能があり、 認知症で外出時の見守りが必要な方も対象です。 高齢者等緊急通報システム
- SOSネットワークに登録しておく…認知症等行方不明SOSネットワーク。 行方不明時に関係機関へ情報が流れます
名義を移すと、車庫が必要になります
車庫証明(保管場所証明)は、保管場所が 自動車の使用の本拠の位置から直線距離で2km以内であることが条件です。 「使用の本拠の位置」は、個人の場合はその人の住所地または居所を指します。
つまり子の住所を使用の本拠にすると、子の家の近くに車庫がいることになります。 実家に置いたままでは条件を満たせません。
実家に置いたまま使うなら、使用者だけを変える
所有者と使用者は別々に登録できます。使用の本拠の位置を実家のままにして、 使用者だけを変える形にすれば、車庫の問題は起きません。 帰省したときに運転する、といった使い方ならこちらが現実的です。
保険の等級は引き継げません
ここが見落とされがちです。自動車保険の等級を引き継げるのは 同居の親族(配偶者は別居でも可)に限られます。 別居している子には引き継げず、新規の6等級からになります。
親が別の車を持ち続ける場合は、セカンドカー割引で7等級から始められることがあります。 等級が変わると保険料が大きく変わるので、車の扱いを決める前に 保険会社か代理店に確認してください。
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決めるのは本人です
運転をやめることは、生活の範囲が変わることでもあります。 買い物、通院、人に会いに行くこと——それまで車でしていたことをどうするかが決まらないまま 免許だけ手放すと、外に出なくなってしまうことがあります。
家族から見て不安があるときも、取り上げるのではなく、代わりの足を一緒に用意してから 話すほうが進みます。判断に迷うときは主治医に相談してください。 地域包括支援センターでも、外出の相談を受け付けています。